2011年9月20日火曜日

気胸ログ (1)

夏休みに貴重な体験をしたので書いておきます。
医学的な知識に関することは、正しくないかもしれないので詳しくはきちんと調べてください。
患者から見た治療とか痛さとか生活とかがメインです。

実は、肺気胸という病気にかかって入院していました。
肺気胸とは、ざっくりいえば肺に何らかの原因で穴が開いて空気が漏れ、呼吸がうまくできなくなる病気。
背が高くてやせ形の若い男性に起こりやすい病気だそうです。
肺気胸に関するちょっとした知識は以下を参照。


上のサイトにもあるように、軽度の肺気胸なら仰々しいことをせずに自然に治るのをまつという方法もあるようですが、僕の場合は血胸と重度の肺気胸を併発するというめんどくさいタイプだったのですこし長引きました。
(血胸に関しても上を参照)


覚えている範囲で自覚症状を挙げると以下の通り。
どれも、後で思えばそうだったという程度ですが…

(肺気胸)
○深呼吸をしても深くまで息が入らない気がする。
○重いものを持った時に鎖骨や肩甲骨、肩などに痛みを感じる。
○背中に痛みを感じる。

(血胸)
○前にかがんだ時に胸のあたりで液体が流れるような音がする。
○走った時などにもチャポチャポと音がする。

これらの症状がある人は念のため病院に行った方が良いかもしれません。
僕がそうでしたが、重症になるとけっこう痛いです。

僕の場合、インターンシップ初日の昼食後に突然胸が痛くなりだしました。
その後、午後の分が終わるまでは耐えていたのですが、夜になって痛みが激しくなり、座っていたらだんだん耳が遠くなって目の前が真っ暗になってパタリ。
救急車で聖路加病院の救急外科に運ばれました。

運ばれたときの肺はこんな感じ。
体の正面から取っているので左右逆になっています。




運ばれたときの肺の様子

一見、肺はそこそこあるように見えるけど、左肺の上の暗い部分はただの空気、下の部分は胸水という液体に血が混じった水たまりだそうです。
僕が覚えているところでは、胸腔(胸の中の空間)には約5L程度の容量があって普段はそれを肺が満たしている。
しかし、肺気胸になると肺がしぼんでスペースができてしまう。
僕の場合、空いたスペースの上部には空気が、下部には胸水という液体がすでに1Lほどたまっていた。
しかも、胸水の中の血の濃度も高かったらしいので、大量失血の恐れがあったそう…

ここからは、救急外科による治療です。
肺気胸は症状の重さに応じて治療方法が異なるらしい。
[1] によると、次のようなイメージ。

軽度 自然治癒
     安静にして治るのを待つ方法。
中度 胸腔ドレナージ術
     胸の横側に小さな穴をあけて管を通し、そこから空気を吸い出して陰圧で肺を膨らませる方法。
重度 胸腔鏡手術
     胸の横側に小さな穴を複数あけて、胸腔鏡によって気胸の原因となっている個所を探し、治療する方法。
     開胸手術
     胸に大きな穴をあけて直接気胸の原因となっている個所を探し、治療する方法。
※ 詳しくは専門の文献などで調べてください。
※ 細かい治療法を書けばもっとあると思います。

僕が受けた治療は胸腔ドレナージ術という治療。
レントゲンでは「重度の肺気胸」という判断だったけど、大げさな治療をするリスクも考えてこの治療法を選んだそうです。
覚えている範囲で、胸腔ドレナージ術は次のような手順で進みます。


1. 局所麻酔…痛
2. 胸の横を切る…痛痛
3. 胸膜をぐいっとひっぱって管を入れるスペースを作る…痛痛痛
4. 管をすすっといれる…痛痛
5. 傷口を縫合…痛痛

「痛」はどれくらい痛いかを示してます。
ここでは局所麻酔が基準。
ちなみに、検査のための動脈注射というのがあったんですが、それも局所麻酔と同じくらい痛いです。
採血などよりははるかに痛い…

僕の場合、麻酔の効きが悪く、この治療はかなり痛かったです…
麻酔を打つと、先生が「これ、わかりますか?」と言って切る所をペシペシするので、痛いのが嫌な人はそこでしっかり「麻酔効いてないアピール」をするのが良いと思います…
しかし、痛さに耐えた甲斐があって、管を入れたら少しは息がしやすくなりました。

治療後、管もささっていることだし、すぐ退院できるはずもなく入院。
入院後の生活は以下のような感じでした。

○朝: レントゲンと採血
    レントゲン -> 肺のふくらみを見るため
    採血 -> 血胸による貧血と傷の炎症の度合いを調べるため
○昼、夜: 暇…

食事制限などは特になく、むしろ血を作るためにしっかり食べてくださいと言われました。
薬は、痛み止めと胃薬を飲んでいました。
痛み止めが胃にあまりよくないため、胃薬も処方されていたようです。
体温は微熱が続く感じ。
これは胸水を体が吸収しているときに出る熱だそう。
移動の際には胸から出ている管と、それがつながっているドレナージ用の機械も一緒に連れて行かなければなりません。
「立つ」「座る」など大きく体の状態を変える動作で特に痛かったような気がします。

数日して(僕の場合は管を入れてから丸2日程度)、レントゲンが次のような感じになってくると、いよいよ胸にささっている管が抜けます。


いい感じになってきました


右の肺と比べても左の肺がかなり膨らんできているのが分かると思います。

管を抜くときは、あんまり痛くないのがふつう…らしいんだけど、今回もやはり麻酔の効きが悪くとても痛かったですorz
覚えている範囲で、管を抜く手順は…

1. 管付近を固定しているごついテープをベリベリはがす…痛
2. 局所麻酔…痛
3. 抜糸…痛
4. 傷口をグッと抑える…痛痛痛
5. 管をズルッと抜く…痛痛痛
6. 傷口を縫合…痛痛

普通は麻酔が効いて3以降は痛くなくなるらしいです。
やはり「効いてない」アピールをちゃんとしてください…

しかし、いったん管が抜けてしまうと呼吸も体も一気に楽になります。

管が抜けてから2日弱で退院の判断が出ました。
僕の場合、退院の基準は2つ。
・肺のふくらみが十分で、安定している。
・血液検査で、貧血の度合いと炎症の度合いを示す値がそれぞれ正常値。

たしか、先々週の木曜日だったかな…
午前中には傷口のテープも小さなものに変えてもらい、いつものレントゲンと血液検査。
あとは最後の病院ランチを頂いて帰るだけ。

昼食はオムライスでした。
1/3程度食べたところで、看護師の方が病室にダッシュ。

看護師さん: 「お昼食べないで!」
redtail   : 「…は?」
看護師さん: 「先生が来るのでそのまま待っててください!」(オムライス強奪)
redtail   : 「おい…」
先生      : 「redtailさん、レントゲン写真見たのですが…肺がしぼんでます。」
redtail   : 「…は?」

…病院内再発orz

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