2011年9月22日木曜日

気胸ログ (2)

原因にも症状にも心当たりがなかったのですが…再発していましたorz

[1]によると、再発の可能性は次の通り。

○自然治癒   50%
○胸腔鏡手術 5~10%
○開胸手術   2~3%

イメージとしては、治療の苦痛が少ないほど再発の可能性が高い…という感じでしょうか。
個人差があるので何とも言えないようです。
実際、胸腔ドレナージ術をしてもらった直後に再発したしw

ということで緊急手術が決定。
専門の先生によると、そもそも、最初に運ばれたときに手術をしてもおかしくないような状況だったらしいです。

昼食を取り上げられた理由は、手術で全身麻酔がかかった状態で胃にモノが入っているのが良くないから、とのこと。
胃の内容物をコントロールできなくて逆流して気道に入ったら…とかそんな感じだった気がする。
しかし、すでに少し食べてしまっていたのでそこから6時間待機。

6時間の間には、麻酔の先生と専門の先生が説明に来てくださいました。
細かい内容は覚えてないけど、肺の状態を見て治療方針が変わるかもしれないこと…つまり、まずは胸腔鏡での治療を試みて、それでも治療が困難な場合、開胸手術に切り替える、との説明を受けました。
それに伴って麻酔の方法も少し変わってきたりすることなども説明されたと思います。
合わせて5,6枚同意書を書いたかな。
(治療法については気胸ログ(1)、その他のサイト参照)

夜になっていよいよ手術。

さすがに今回の手術は全身麻酔。
初めてだったけど、ガスを吸うたびに体が熱くなっていってだんだん眠くなっていったとこまでは覚えている。
起きたら手術は終わってました。
結局、胸腔鏡では原因が分からず開胸したそうです。
しかし、めんどうなことに開胸しても明らかな原因が分からず、原因である可能性がある個所を治療して終わったそう。
普通、明らかに出血している個所や空気が漏れている場所が分かるのだそうですが…不思議だ。
空気が漏れいている個所をチェックする方法は、タイヤのパンク箇所を探すのと同じイメージらしい。
それが肺でどのように行われているかはよくわかりませんが。
とにかく、とりあえずこれで大丈夫だろうとのことでした。


術後の病院での生活は前回とほとんど変わらず。
気胸ログ(1)を参照)
ただし、傷口が大きくなったので、その痛みで手術直後はなかなかつらいです。
ドレーン用の管に加えて、背中の痛みどめの管や点滴など前回以上に体からごちゃごちゃと出ているのと、切り傷の痛みと違和感で手術翌日はほとんど動けませんでした。
そういえば書いてなかったけど、入院中の点滴の一つには抗生剤を使っていました。
手術の傷跡から菌が胸腔内に入ってしまうと、残っている胸水が培地となり一気に菌が繁殖して病気になるらしい。
いわゆる、膿胸というやつです。
膿胸にならないためにがっちりしたテープと抗生剤で傷口を守っていたわけです。
(膿胸について、詳しくは以下などを参照。


今回は2日弱でドレーン用の管が抜けました。
それと同時に、傷口の痛み止めが少し弱い薬に変わりました。

そこからさらに1日で背中の管もぬけて経過観察へ。
こうなると体の自由度も上がっていろいろと動き回れるようになります。

念のため、さらに2日間様子を見て、レントゲンと血液検査の結果も良かったため今度こそようやく退院。

現在は術後の経過を見ているところで、傷口の抜糸ももう済んでいます。

退院後の傷の感じとしては…「ずっと何かを脇に挟んでいるような違和感」「胸に板が入っているような感覚」というところ。
手術では神経を切断したわけではないものの、肺の中を見るためのスペースづくりのために神経をいじったことでマヒが残っているらしいです。
先生によると、この感覚とは数か月単位で付き合っていかなければならないとのこと。
左胸、脇、腕がずーっと変な感じ…家事を自分でせっせとやってる一人暮らしのみとしてはけっこう不自由。
個人的には料理を手早くできないのがイタイ。

退院後の予定は、

    (1) 約1週間 抜糸 --- 済
    (2) (1)から約2週間 気胸については最後の通院

となっています。

僕の場合、特に厳しく制限されていることなどはありませんが、一般的に、気圧の変化が激しく肺に負担をかけること(飛行機に乗るとか、ジェットコースターはだめとか書いているところもあったな…)や喫煙、飲酒、激しいスポーツなどは控えるようです。
制限などされなくてもこんな体調ではどうせ激しいスポーツはできないと思うけど…


以上、気胸体験でした。

今後の「手続き」の過程で、なにか役立ちそうなことがあれば最後にそれも付け足そうかな。

気圧の変化が気になる今日この頃…台風はとりあえず大丈夫でした。


2011年9月20日火曜日

気胸ログ (1)

夏休みに貴重な体験をしたので書いておきます。
医学的な知識に関することは、正しくないかもしれないので詳しくはきちんと調べてください。
患者から見た治療とか痛さとか生活とかがメインです。

実は、肺気胸という病気にかかって入院していました。
肺気胸とは、ざっくりいえば肺に何らかの原因で穴が開いて空気が漏れ、呼吸がうまくできなくなる病気。
背が高くてやせ形の若い男性に起こりやすい病気だそうです。
肺気胸に関するちょっとした知識は以下を参照。


上のサイトにもあるように、軽度の肺気胸なら仰々しいことをせずに自然に治るのをまつという方法もあるようですが、僕の場合は血胸と重度の肺気胸を併発するというめんどくさいタイプだったのですこし長引きました。
(血胸に関しても上を参照)


覚えている範囲で自覚症状を挙げると以下の通り。
どれも、後で思えばそうだったという程度ですが…

(肺気胸)
○深呼吸をしても深くまで息が入らない気がする。
○重いものを持った時に鎖骨や肩甲骨、肩などに痛みを感じる。
○背中に痛みを感じる。

(血胸)
○前にかがんだ時に胸のあたりで液体が流れるような音がする。
○走った時などにもチャポチャポと音がする。

これらの症状がある人は念のため病院に行った方が良いかもしれません。
僕がそうでしたが、重症になるとけっこう痛いです。

僕の場合、インターンシップ初日の昼食後に突然胸が痛くなりだしました。
その後、午後の分が終わるまでは耐えていたのですが、夜になって痛みが激しくなり、座っていたらだんだん耳が遠くなって目の前が真っ暗になってパタリ。
救急車で聖路加病院の救急外科に運ばれました。

運ばれたときの肺はこんな感じ。
体の正面から取っているので左右逆になっています。




運ばれたときの肺の様子

一見、肺はそこそこあるように見えるけど、左肺の上の暗い部分はただの空気、下の部分は胸水という液体に血が混じった水たまりだそうです。
僕が覚えているところでは、胸腔(胸の中の空間)には約5L程度の容量があって普段はそれを肺が満たしている。
しかし、肺気胸になると肺がしぼんでスペースができてしまう。
僕の場合、空いたスペースの上部には空気が、下部には胸水という液体がすでに1Lほどたまっていた。
しかも、胸水の中の血の濃度も高かったらしいので、大量失血の恐れがあったそう…

ここからは、救急外科による治療です。
肺気胸は症状の重さに応じて治療方法が異なるらしい。
[1] によると、次のようなイメージ。

軽度 自然治癒
     安静にして治るのを待つ方法。
中度 胸腔ドレナージ術
     胸の横側に小さな穴をあけて管を通し、そこから空気を吸い出して陰圧で肺を膨らませる方法。
重度 胸腔鏡手術
     胸の横側に小さな穴を複数あけて、胸腔鏡によって気胸の原因となっている個所を探し、治療する方法。
     開胸手術
     胸に大きな穴をあけて直接気胸の原因となっている個所を探し、治療する方法。
※ 詳しくは専門の文献などで調べてください。
※ 細かい治療法を書けばもっとあると思います。

僕が受けた治療は胸腔ドレナージ術という治療。
レントゲンでは「重度の肺気胸」という判断だったけど、大げさな治療をするリスクも考えてこの治療法を選んだそうです。
覚えている範囲で、胸腔ドレナージ術は次のような手順で進みます。


1. 局所麻酔…痛
2. 胸の横を切る…痛痛
3. 胸膜をぐいっとひっぱって管を入れるスペースを作る…痛痛痛
4. 管をすすっといれる…痛痛
5. 傷口を縫合…痛痛

「痛」はどれくらい痛いかを示してます。
ここでは局所麻酔が基準。
ちなみに、検査のための動脈注射というのがあったんですが、それも局所麻酔と同じくらい痛いです。
採血などよりははるかに痛い…

僕の場合、麻酔の効きが悪く、この治療はかなり痛かったです…
麻酔を打つと、先生が「これ、わかりますか?」と言って切る所をペシペシするので、痛いのが嫌な人はそこでしっかり「麻酔効いてないアピール」をするのが良いと思います…
しかし、痛さに耐えた甲斐があって、管を入れたら少しは息がしやすくなりました。

治療後、管もささっていることだし、すぐ退院できるはずもなく入院。
入院後の生活は以下のような感じでした。

○朝: レントゲンと採血
    レントゲン -> 肺のふくらみを見るため
    採血 -> 血胸による貧血と傷の炎症の度合いを調べるため
○昼、夜: 暇…

食事制限などは特になく、むしろ血を作るためにしっかり食べてくださいと言われました。
薬は、痛み止めと胃薬を飲んでいました。
痛み止めが胃にあまりよくないため、胃薬も処方されていたようです。
体温は微熱が続く感じ。
これは胸水を体が吸収しているときに出る熱だそう。
移動の際には胸から出ている管と、それがつながっているドレナージ用の機械も一緒に連れて行かなければなりません。
「立つ」「座る」など大きく体の状態を変える動作で特に痛かったような気がします。

数日して(僕の場合は管を入れてから丸2日程度)、レントゲンが次のような感じになってくると、いよいよ胸にささっている管が抜けます。


いい感じになってきました


右の肺と比べても左の肺がかなり膨らんできているのが分かると思います。

管を抜くときは、あんまり痛くないのがふつう…らしいんだけど、今回もやはり麻酔の効きが悪くとても痛かったですorz
覚えている範囲で、管を抜く手順は…

1. 管付近を固定しているごついテープをベリベリはがす…痛
2. 局所麻酔…痛
3. 抜糸…痛
4. 傷口をグッと抑える…痛痛痛
5. 管をズルッと抜く…痛痛痛
6. 傷口を縫合…痛痛

普通は麻酔が効いて3以降は痛くなくなるらしいです。
やはり「効いてない」アピールをちゃんとしてください…

しかし、いったん管が抜けてしまうと呼吸も体も一気に楽になります。

管が抜けてから2日弱で退院の判断が出ました。
僕の場合、退院の基準は2つ。
・肺のふくらみが十分で、安定している。
・血液検査で、貧血の度合いと炎症の度合いを示す値がそれぞれ正常値。

たしか、先々週の木曜日だったかな…
午前中には傷口のテープも小さなものに変えてもらい、いつものレントゲンと血液検査。
あとは最後の病院ランチを頂いて帰るだけ。

昼食はオムライスでした。
1/3程度食べたところで、看護師の方が病室にダッシュ。

看護師さん: 「お昼食べないで!」
redtail   : 「…は?」
看護師さん: 「先生が来るのでそのまま待っててください!」(オムライス強奪)
redtail   : 「おい…」
先生      : 「redtailさん、レントゲン写真見たのですが…肺がしぼんでます。」
redtail   : 「…は?」

…病院内再発orz